サイト | 評価(5段階) |
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Filmarks | ★×3.9 |
映画.com | ★×3.9 |
Amazon Prime Video | ★×4.6 |
2018年に公開された劇場アニメ『さよならの朝に約束の花をかざろう』(以下、さよ朝)は、儚くも美しい世界観と、そこで生きる人々の心の機微を丁寧に描いた作品です。
本作は、単なるファンタジー作品としてだけでなく、観る者の心に深く問いかけるテーマを持っています。
それは、「命」の意味、そして「愛」の形です。
今回は、『さよ朝』のあらすじを振り返りながら、本作が問いかける命の意味について考察していきたいと思います。

切な面白いタイプの作品ですね。
儚さが美しいんだよね!

『さよならの朝に約束の花をかざろう』のあらすじ

主人公のマキアは、「イオルフ」と呼ばれる長寿の種族に属する少女です。
イオルフの人々は外見が10代のまま数百年を生きることができますが、他種族との関わりを禁じられています。
彼らは美しい織物「ヒビオル」を織りながら、平穏な日々を送っています。
しかし、ある日、イオルフの長寿の血を求めるメザーテ軍が襲撃し、マキアは住処を追われてしまいます。
森をさまよう中で、彼女は両親を亡くした人間の赤ん坊エリアルを見つけ、彼を自らの子として育てることを決意します。
これにより、マキアは初めて「母親」としての人生を歩み始めます。
エリアルは普通の人間として成長していきますが、マキアは変わらぬ姿のままです。
やがてエリアルは青年へと成長し、恋をし、戦争に巻き込まれていきます。
一方、マキアは変わらぬ愛情を抱き続けますが、「永遠に変わらない自分」と「成長し、老いていくエリアル」との違いに苦しむようになります。
最終的に、戦乱の中で再会したマキアは、エリアルが家族を持ち、父親になったことを知ります。
そして、数十年の月日が流れ、エリアルの最期の時を看取ることになります。
彼は「お母さん」と呟きながら静かに息を引き取り、マキアは再び旅に出るのです。

面白い内容ではあるのですが、クリムに救いがなさすぎるのがちょっとだけ鬱ポイントですね。
命の有限性が与える意味

本作が問いかける最も重要な問いの一つは「命に限りがあるからこそ、その命に価値があるのではないか」ということです。
マキアは、何百年も生きるイオルフとして、時の流れに対して異なる感覚を持っています。
しかし、有限の命を持つエリアルとの日々を通じて、マキアは「今この瞬間」の尊さを学びます。
エリアルの成長の一つ一つは二度と戻らない貴重な時間であり、その有限性ゆえに輝きを放っているのです。
劇中、マキアは言います。「命に終わりがあるからこそ、美しいのだと思う」と。
この言葉は、有限だからこそ価値があるという本作のメッセージを象徴しています。
自分だけ長生きして、周りがどんどん先に逝くっていうのも結構キツそうだよね!

「別れ」という試練

本作のタイトル『さよならの朝に約束の花をかざろう』が示すように、物語の核心には「別れ」があります。
マキアとエリアルの関係は、いずれ別れが訪れることを前提としています。
マキアはエリアルが人間として独り立ちすること、そして自分との別れを受け入れることを、成長の必然的な過程として理解しています。
この「別れ」を美しく受け入れる姿勢こそ、本作が描こうとする「命の尊さ」ではないでしょうか。
別れは悲しいものですが、その別れを前提として過ごした時間だからこそ、それぞれの瞬間が輝きを増すのです。
マキアとエリアルの物語は、「さよなら」を告げる強さと美しさを教えてくれます。

ラストシーンは『インターステラー』を思い出しましたね。
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「母」という存在

本作のもう一つの重要なテーマは、「母」という存在です。
マキアは生物学的には母ではありませんが、エリアルを育て上げることで真の「母」になっていきます。
マキアの成長は、母としての苦悩と喜びを通して描かれます。
子供を育てることの難しさ、子供が自立していく過程での葛藤、そして最終的には子供を手放す決断。
これらはすべて「母」として経験する普遍的な感情です。
作品は、血のつながりよりも、共に過ごした時間こそが真の家族を形成すると語りかけています。
マキアとエリアルの絆は、「命」を共に歩んだ証なのです。
レイリアとメドメルの引き離された母と娘の絆も見どころだよね!

まとめ

サイト | 評価(5段階) |
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Filmarks | ★×3.9 |
映画.com | ★×3.9 |
Amazon Prime Video | ★×4.6 |
『さよならの朝に約束の花をかざろう』は、命の儚さや愛の尊さを描いた美しい物語です。
ポイント
- 永遠と時間の流れの対比:長命のイオルフ族と短命の人間の視点を通じて、人生の有限性と永遠の葛藤を描いています。
- 愛と別れのテーマ:親子、友情、恋愛といった多様な愛の形が、別れの瞬間とともに深く表現されています。
- 成長と自己発見:主人公のマキアが、母親として成長し、自己を見つけていく姿が物語の中心にあります。
- 戦争と民族の背景:イオルフ族の特別性が争いを引き起こし、平穏な生活が危険にさらされる現実を描写。
- 美しい映像美と音楽:繊細で感情的な作画と共に、音楽が物語の感動をさらに引き立てています。
マキアとエリアルの絆を通じて、命の意味や存在の価値について深く考えさせられます。
この作品は、観客に「命とは何か」「自分は何のために生きているのか」という問いを投げかけ、その答えを探す旅に誘います。
命は有限であるからこそ、その瞬間を大切にし、愛する人との時間を尊ぶべきであるというメッセージは、現代社会においても非常に重要なものです。
『さよならの朝に約束の花をかざろう』は、そんな普遍的なテーマを描いた、心に残る作品です。

イオルフの長老がどうなったのか不明なのは不完全燃焼でしたね。
冒頭に出てきただけで、メザーテの襲来の後一切出て来なかったもんね!
