サイト | 評価(5段階) |
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Filmarks | ★×3.7 |
映画.com | ★×3.5 |
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『風立ちぬ』は、スタジオジブリ制作、宮崎駿監督の2013年公開のアニメ映画で、大正から昭和初期の日本を舞台に、飛行機設計に情熱を注ぐ青年・堀越二郎の半生と、彼の愛と夢を描いた作品です。
実在の人物である零戦設計者・堀越二郎の人生を基にしながら、小説家・堀辰雄の文学世界と見事に融合させたこの作品は、歴史とフィクションの絶妙なバランスが魅力です。
『風立ちぬ』のテーマ
- 夢と現実の狭間:二郎の飛行機への情熱と、それが兵器として使われる矛盾。
- 儚い命と愛:菜穂子との短くも深い愛の物語。
- 戦争への暗喩:美しい飛行機が「零戦」の原型となっていく時代の悲劇性。

宮崎駿監督作品と言えばファンタジー作品のイメージが強いですが、本作は真逆なのに面白いという異色さが際立っていますね。
結局面白い物語を作れる人は、どんなテーマでも面白い作品を生み出せるんだよね!

『風立ちぬ』のあらすじ

幼い頃から飛行機に憧れていた二郎は、夢の中でイタリアの飛行機設計者カプローニと出会い、「飛行機は戦争の道具ではなく、美しい夢だ」との言葉を胸に刻みます。
やがて東京帝国大学を卒業し、三菱の航空機設計技師として働き始めた二郎は、時代の波に翻弄されながらも、新たな戦闘機の開発に打ち込みます。
関東大震災の際、避難する途中で菜穂子という少女と出会い、彼女を助けたことをきっかけに運命的な再会を果たします。
二人は次第に惹かれ合い、結婚を決意しますが、菜穂子は結核を患っており、残された時間が少ないことが分かります。
それでも二郎は彼女を愛し、共に生きることを選びます。
一方で、二郎の設計した戦闘機「零戦」は戦争へと向かい、彼自身の理想とは異なる運命を辿ります。菜穂子は療養所を抜け出し、二郎のそばで過ごしますが、やがて静かに去っていきます。
戦争が終わり、夢に生きた二郎の心には、美しくも儚い飛行機と菜穂子の面影が残るのでした。
注目のシーン
- 関東大震災の描写:二郎と菜穂子の運命的な出会い
- 軽井沢での生活:限られた時間の中の幸福
- 零戦の初飛行:二郎の夢の成就とその複雑な表情

この映画を観た後に、無性にシベリアが食べたくなったのでスーパーで買ってみたのですが、全然美味しくなかった記憶があります。。。

歴史とフィクションの融合

『風立ちぬ』は、史実と創作が絶妙に融合した作品です。
実際の堀越二郎は菜穂子のような女性との恋愛エピソードを持っていたわけではなく、これは完全にフィクションの要素です。
一方で、彼が設計に携わった航空機や、日本の戦前の技術者としての苦悩は史実に基づいています。
特に、劇中で描かれる関東大震災(1923年)や、戦争へと向かう時代の空気感は、忠実に再現されています。
宮崎駿監督は、当時の日本の技術発展と、その中で夢を追い続けた人々の姿を、リアルに描くことにこだわりました。
本作のフィクション要素
- 菜穂子の存在:堀辰雄の小説『風立ちぬ』のヒロインをインスパイア
- カストルプとの出会い:ドイツ人キャラクターは完全な創作
- 夢の中のカプローニ:イタリアの実在の飛行機設計者との対話シーン
史実とフィクションが絶妙に融合して面白くなった作品と言えば、インド映画の大作『RRR』が真っ先に思い浮かぶよね!

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『風立ちぬ』の魅力とメッセージ

夢と現実の葛藤
『風立ちぬ』は、夢を追い求めることの美しさと、それに伴う現実の厳しさを描いています。
二郎の設計に対する情熱と、愛する菜穂子との時間が限られている現実。
これらの要素が交錯することで、物語は一層深みを増します。
愛の物語
菜穂子との愛の物語も、この映画の重要なテーマです。
二人の関係は、時代の流れに翻弄されながらも、その純粋さと強さが際立ちます。
愛が二郎に与える影響は、彼の生き方や仕事に大きな影響を与えています。
『風立ちぬ』の問いかけ
- 美しいものを作ることと、それが兵器に転用される矛盾
- 戦争という狂気の中での個人の生き方
- 儚い幸福の尊さ

線香花火的な、「儚いからこそ美しい」を上手いこと引き出している作品だなと感じます。
まとめ

サイト | 評価(5段階) |
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Filmarks | ★×3.7 |
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『風立ちぬ』は単なる伝記作品でも戦争映画でもありません。
歴史的事実と文学的想像力が織りなす、宮崎駿監督ならではの深い人間ドラマです。
ポイント
- 実在の人物とフィクションの融合:主人公・堀越二郎は実在の航空技術者がモデルでありつつも、堀辰雄の小説「風立ちぬ」の要素が取り入れられています。
- 飛行機への夢と現実の葛藤:二郎の飛行機設計への情熱と、それが戦争に利用される現実の間での葛藤が描かれています。
- 愛と喪失の物語:二郎と菜穂子の純愛が物語の中核にあり、菜穂子の病気との向き合いが感動的です。
- 宮崎駿監督の個人的テーマ:宮崎監督が「自分の引退作」として、創作者の情熱や責任について深く掘り下げた作品です。
- 時代背景の再現:大正・昭和初期の日本の風景や文化が美しく描かれています。
- 映像美と音楽:スタジオジブリならではの精緻な作画と久石譲さんの音楽が作品を引き立てています。
その背景にある時代の息遣いと、宮崎監督のメッセージを感じ取ってみてください。
ジブリ作品の中でも特に大人向けの深い味わいを持つ本作は、何度観ても新たな発見がある作品です。

全てが実話だと言われても納得してしまうし、全てがフィクションだと言われても納得してしまうような、そんな映画ですね。
現実とフィクションのさじ加減が絶妙なんだよね!
